メルスモン製薬の研究・出版

和剤局方の現代的意義と神仙太乙膏について


タイツコウ軟膏について ~概要~

私が関係するメルスモン製薬株式会社では、このタイツコウ軟膏の製造に着手しました。1970年(昭和45年)に、一般用医薬品として申請し、承認され、発売しました。7種の生薬(トウキ、ゲンジン、ケイヒ、ジオウ、シャクヤク、ビャクシ、ダイオウ)をゴマ油で抽出し、ミツロウで固めたものです。

適応症は、「きり傷、むしさされ、とこずれ、やけど及びその他の肉芽形成(火傷)」です。ところで、この適応症の中には、化膿性疾患が入っておりません。和剤局方には、大変有効であるとの記載がありますし、実際、そのような効果がありますので、適応症の中に入れておくべきものだったと思います。このように、適応の範囲が広いので、家庭の常備薬として使える薬です。 。

なお、市場には、太乙膏という名前の軟膏もありますが、これはホモスルファミン、カンフル、酸化亜鉛を用いたもので、タイツコウ軟膏とは、全く別の薬です。


タイツコウ軟膏の臨床例

壊疽性悪液性膿瘡(麻疹後):11ヶ月女児 1)

躯幹、頸部に鶏卵大~爪甲大の深い潰瘍が多発していました。初めは、抗生物質を使用していましたが、タイツコウ軟膏に変えました。1週間で健康な肉芽の盛り上がりがあり、3週間でほとんど浅くなって縮小し、5週間で治癒しました。


両下腿第3度熱傷(お灸):63歳女子 1)

潰瘍化1ヶ月後に初診で、拇指頭大の深い潰瘍でした。タイツコウ軟膏使用により、1週間で、肉芽形成が著明となり、約1ヶ月後、ほぼ治癒状態となりました。


臀部の褥瘡:85歳男子 2)

タイツコウ軟膏使用前の創部は壊死の状態でした。周囲は若干肉芽形成が認められています。タイツコウ軟膏使用により、創部は急速にきれいになり、肉芽形成が進みました。投与2ヶ月で、浸出液も殆ど認められなくなり、著明に改善しました。投与3ヶ月目には、ほぼ肉芽形成が完了しました。


重症アトピー性皮膚炎 3):11歳男児

全身性に丘疹が出現し、強い掻痒のためびらん化し、感染を合併し、難治化しました。タイツコウ軟膏使用により、徐々にびらん性丘疹は消退し、色素沈着を残して治癒しました。その後、症状は安定しています。


重症アトピー性皮膚炎 3):9歳男児

生後2ヶ月で発症し、8歳の頃から急激に悪化しました。体幹、四肢に痒疹丘疹が認められました。9歳の時入院加療してほぼ改善しましたが、下肢に丘疹が出現し、消退を繰り返しました。タイツコウ軟膏を下肢に使用し、翌日より、発赤の消失を認め、2週間後、丘疹はほぼ消失しました。その後、湿疹の悪化は見られていません。


重症アトピー性皮膚炎 3):11歳女児

3歳で発症し、10歳頃より臀部の湿疹が悪化しました。ステロイド外用剤を強くすると改善傾向が認められましたが、一進一退を繰り返し、難治化しました。タイツコウ軟膏使用により、発赤の軽度改善、湿疹の広がりの軽度縮小が認められましたが、ステロイド外用剤の減量はできませんでした。


参考文献

  1. 高野ら:西日本皮膚科41:770.1979.
  2. 伊藤ら:漢方外用剤研究会講演会 1986.2.22
  3. 岩崎ら:漢方外用剤研究会講演会 1993.2.13


タイツコウ軟膏のまとめ

  1. 和剤局方は、国の事業として取り組まれ、複数の医師の協議によって、優れた処方だけが選択された処方集です。その処方には、独特な薬効評価の表現がされているものもあります。そして、世界で最も古い薬局方でもあります。
  2. 神仙太乙膏の市販品(タイツコウ軟膏)について見ると、主なものは、原典にそった事例での有効性が臨床例によって証明されました。
  3. 神仙太乙膏のみでなく、古い書物の中には、よい治療薬の埋もれている可能性があります。現在、よい治療薬がない疾患も多くあります。それらに少しでも役立つ薬の掘り起こしができればと思います。

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