メルスモン製薬の研究・出版

和剤局方の現代的意義と神仙太乙膏について


神仙太乙膏について

和剤局方の中で、薬効評価が最大級のランクにあるものは25方あります。主題である神仙太乙膏もその一つです。巻之八、癒腫傷折、呉直閣増諸家名方の中に収載されています。
(資料2)



ここで、神仙太乙膏の「膏」という字について説明しますと、膏は、動物性の油を意味しています。後に、どろどろしたものという意味になります。ただ単に煮詰めたもの、つまり、エキスでもどろどろしたものは、膏という言葉を使います。ですから、膏は、形を言っているのであって、使い方を言っているのではありません。後には、膏と書きますと、軟膏や硬膏という意味を持ってきます。硬膏は、布や硬い紙に塗り、使う時に、これをゆるく加熱すると柔らかくなりますので、それを貼って使います。


神仙太乙膏の薬効・用法

  1. 「あらゆる化膿性の病変、どの段階の化膿の状態でも治せる」という内容の記載があります。八発廱疽(あちらこちらにできた化膿性腫瘍)、一切の悪瘡軟節(悪瘡:悪性の腫物、節:毛嚢炎の重症)、これらは年月の深遠を問わず、すでに膿を成すにも、いまだ膿を成さざるにもこれを貼る、とあります。

    • 発背(背部にできた廱腫)は、温水で洗い、ぬぐって乾かし、絹布に薬をのばして貼り、水で一粒を飲みます。
    • 漏瘡(瘻孔を有する化膿性病変)は、塩湯(暖かい生理食塩水)で洗い、紙に薬をのばして貼り、毎服一粒を飲みます。

  2. 蛇、虎、蝎、犬、刀斧による傷には、内服、外貼します。相当深い傷でも治せるということです。
  3. 湯火傷は、内服、外貼します。

【資料3】

神仙太乙膏の薬効 用法
(1) あらゆる化膿性の病変、どの段階の化膿の状態でも治せる。
八発廱疽(廱疽:化膿性腫瘍)、
一切の悪瘡軟節(悪瘡:悪性の腫物・節:毛嚢炎の重症)
年月の深遠を問わず
已に膿を成すにも未だ膿を成さざるにも
貼る
発背(背部にできた廱腫) 温水で洗い、貼り、水で一粒をのむ
漏瘡(瘻孔を有する化膿性病変) 塩湯で洗い、貼り、毎服一粒
(2) 蛇、虎、蝎、犬、刀斧による傷 内服、外貼
(3) 湯火傷 内服、外貼
(4) 血気 木通酒でのむ
赤白帯下 当帰酒でのむ
(5) 咳嗽、喉閉、爐喉風(ジフテリア) 綿につつみ、口の中に入れてとかす
(6) 一切の風赤眼(流行目) 太陽穴に貼り、後に山梔子湯でのむ
(7) 打撲傷損 貼り、橘皮湯でのむ
(8) 腰膝痛 貼り、塩湯でのむ
(9) 唾血 桑白皮湯でのむ
内服の場合
桜桃の大きさにまるめて、蛤の貝殻を粉にしたものを丸衣にして丸薬とする。

神仙太乙膏の使用期限と有効性

神仙太乙膏の使用期限と有効性について

使用期限

「其の薬は十年を収めて壊れざるべし、愈久しく、愈烈し」と記載されています。これは、「長期間保存しても変化はしないし、ますます効き目がある」ということです。ほかの薬剤に比べると、かなり長い間使えますが、実際は、新しいものほどよいのです。

有効性

最大級の薬効評価である「神効具に述ぶべからず」と記載されています。これは、さきほど述べましたように、「効き目は著明で、効果の範囲を言葉では言い表せない」ということです。


神仙太乙膏の薬物

薬物は、川当帰、玄参、肉桂、生乾地黄、赤芍薬、ビャクシ、大黄の7種類です。これらの薬物は、一級品を使うということが書かれています。

例えば、赤芍薬についてですが、中国では、宋の時代から、赤芍、白芍とわけています。(理由はわかりませんが)芍薬の根は、真ん中にやや太いのがあり、その横に細いのがいくつも出ています。細いものを集めたものが赤芍です。赤芍は、洗った後、そのまま乾燥させたもので、こちらの方が品質が良いのです。ただし、虫の害を防ぐために、日本でも、湯通しはしているようです。

これに対して、白芍は、根の真ん中の太いものだけを集めたもので、洗った後、長時間、沸騰水の中に入れて煮ます。そのため、成分がとけだしてしまいます。ですから、品質が落ちますので、こちらは使うべきではありません。(しかし、中国では、白芍を一級品と言っています)和剤局方で、神仙太乙膏に赤芍薬を用いるとあるのは、品質の良いものを使えということを言っているわけです。

外用として用いた場合の、薬物の薬効と主治について述べますと、当帰は、血液循環を良くし、充血をとり、皮膚を潤し、痛みを散らし、肉芽形成の作用があります。その他の薬物については、資料4をご覧ください。

一つの症状に対して、何種類もの薬物を用いていますので、それだけ効果が強いわけです。例えば、肉芽形成作用は、当帰、桂皮、地黄、ビャクシにあります。紫雲膏にも当帰が入っていますが、紫雲膏は、当帰、紫根、ゴマ油、豚脂、ミツロウをもちいたもので、外傷では、浅い傷に使います。これに対して、神仙太乙膏は、これだけ多くの薬物を用いていますので、深い傷でも、浅い傷でも使うことができるというわけです。

【資料4】薬物の薬効と主治(外用として用いた場合)

神仙太乙膏の薬物 神仙太乙膏の用法
当帰: 血液循環をよくし、充血をとり、皮膚を潤し、排膿し、痛みを散らす、肉芽形成
玄参: 清熱作用、消炎・解熱・鎮痛作用、皮膚の痒みをとる。
桂皮: 趺損於滞(打撲による血の鬱滞)、血痢腸風(痔出血など)を治す、血管拡張作用、肉芽形成、膿を化し、蛇蝮の毒を解す、鎮痛作用
地黄: 皮膚の燥を除き、腫れ物の熱をとる、清熱作用、肉芽形成
芍薬: 廱腫、疥癬を治す、於血を消す、よく膿を蝕む、痔瘻、背中にできた腫瘍を治す、鎮痛作用、止血作用
ビャクシ: 湿を燥かす、腫れを消す、止痛する効能、燥痒・疥癬を治す、膿を排しのける、肉芽形成、ヘビによる咬傷、清熱作用
大黄: 清熱作用、外傷出血への止血効果、膿を蝕む、口内炎、口唇潰瘍、廱腫などの炎症疾患、熱傷、歯齦からの出血
麻油: 抽出に用いるが、燥を潤し、諸毒を解し、諸虫を殺し、腫痛に塗るとよい

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